ヤマタノオロチ
「まったく、お前も男だな・・・。」
言うと、オロチはかごを家の前に置き、壁に無造作に立てかけてある剣を二つ手に取る。
「鞘は抜くなよ。」
当然。
鞘の中身は真剣。
稽古とはいえ、それで命を落とす可能性だって、あるのだ。
「いくぞ!」
勢いよく飛び掛るスサノオ。
一閃!
「だから、足が弱い!」
瞬間、しゃがみこんだオロチに足払いを受けそうになる。
「甘いわ!オロチ!」
だが、それもスサノオの計算のうち。
一気に垂直ジャンプすると、オロチの頭上に。
取った!
・・・思った瞬間。
「あれ?」
下にいるはずのオロチがいなかった。
「だから、甘いといったんだ・・・そんなに高く飛んでどうする?」
声は後ろから聞こえた。
瞬間。
「いてっ!」
後頭部に襲い掛かる、打撃。
どうやら、自分が飛び上がった瞬間、オロチは下を転がり、一気にスサノオの後ろに回ったことは、考えなくても分かった。