ヤマタノオロチ


「またかよ・・・。」


 連続敗戦記録12回。


 昔に比べて勝てるようにはなったが、まだ、圧倒的に敗戦率の方が高い。


「お前は直情過ぎるんだよ・・・だから、鮎しか釣れない。」


 うっ・・・痛いところを・・・


「くっそ・・・」


 自分の剣術がどれほどのものかは分からない。


 何せ、比べる相手がオロチしかいないのだから・・・。


 だが、それでもオロチの腕は格段に高いと思う。


 オロチこそ、これほどの剣の腕があれば、どこの国でも引く手あまただろうに・・・。


 俺が国の王子ならぜったい、オロチは起用したな・・・。


「ほら、満足か・・・飯にするぞ。」


 言うと、オロチは剣をスサノオから取り上げ、家の壁に立てかけると、先ほど釣った魚をイワナき始めた。


 穏やかな日々。


 王子と言うしがらみをなくし、タダの釣り人となって、得た安息の日々。


 姉に対しての恨みはある。


 王族に、戻りたいとは思わなかったが、いつか仇は取りたいとも思う。


 だが・・・このような安息の日々は崩したくない・・・スサノオは心から思っていた。


 しかし、それは彼がワガママゆえの思考であることは言うまでもなく、世界はそんな彼のワガママを受け入れるわけもなく・・・・。


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