Buenas noches
情熱の国・スペインに三原聖奈(みはらせな)は住んでいる。スペインの地中海が見えるこの街で、恋人と住んでいる。

「エルヴィン、起きて〜!。もう朝ごはんできたよ」

チェック柄のエプロンをつけたまま、聖奈はベッドで眠る恋人のエルヴィン・マンローに声をかける。エルヴィンが全く起きる気配がないので、聖奈はカーテンを思い切り開けた。

「眩し……!聖奈ちゃん、もうちょっと優しく起こそうぜ……」

太陽の光にエルヴィンは目をこする。聖奈は、「だったら一回で起きてください!」と呆れながら言った。

エルヴィンと同居し始めてもう三年。エルヴィンは朝に弱く、いつも聖奈が起こしている。聖奈が起こさなければ、平気でお昼過ぎまで眠ってしまうのだ。

「スペインは太陽の沈まない国なんでしょ?さあ起きて!」

聖奈がそう言いベッドに近づくと、腕を掴まれエルヴィンに抱き枕にされた。

「太陽が沈まない国だからってよくわからない。それに、今日は日曜日だよ?」

子犬のような目で見つめられるが、聖奈は心を鬼にする。

「ダメ!起きなさい!」
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