偽婚

協力者



それは、クリスマスが終わり、お正月も過ぎて、新しい年に慣れ始めた頃だった。

一本の電話で呼び出される私。


場所は、神藤さんの会社が経営する、駅前のカフェ。



「杏奈!? 変わりすぎててわかんなかったよ!」


久しぶりに再会した幼馴染の梨乃(りの)は、私の見た目の変化に目を丸くする。

今まで似たようなギャルだったのに、ちょっと会わないうちに私だけイメチェンしたのだから、そりゃあ、驚くのも無理はないだろうけど。



「携帯変えたって連絡もらった時には何も思わなかったけど、この前、ナナに会ったら、杏奈がいきなり『ティアラ』辞めたって聞いて、びっくりしてさぁ!」

「うん」

「それで呼び出してみたら、別人みたいになってるし! どうなってんのよ!」

「いやぁ、ちょっと、ここ2カ月ほどの間に、色んなことがありすぎて」

「説明して!」


バンッ、とテーブルを叩かれるが、曖昧な笑みしか返せない。



誰にも内緒の偽装結婚。

しかし、この勢いの梨乃を相手に、誤魔化せるわけもないだろう。


少し迷ったが、私はすべてを話すことを決めた。
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