箱庭ガール
夏1
夏 ~そして~
夏休みに入るのと同時に梅雨が明けた。
真っ青な空に白い雲が浮かぶ。太陽の強烈な日射しが、この世の全てを鮮やかに彩るかのように照らしていた。
「今日も暑いねぇ……」
「兄貴、かき氷作ってくれよ……」
「二人とも、人の部屋でだらだらしておいて、かき氷まで僕に作らせるの?」
「好きでこの部屋に居るんじゃねぇし。母さんが、夏は節電しろってうるさいから同じ部屋に居るだけだし」
敦大の言葉に敬也はため息をついた。
「あ、かき氷を作るなら、私が道具を持ってくるよ。三人で作ろう?」
そう言って花菜は立ち上がった。
「俺、ちょっとトイレ」
敦大が立ち上がって、先に部屋を出て行く。
「一人で全部持ってくるのは大変でしょう。僕も手伝うよ」
「ありがとうございます。助かります」
敬也と二人でキッチンまで下りてくると玄関のチャイムが鳴った。玄関の外から、宅急便ですと声がする。
「はーい。ちょっと出てくるね」
そう言うと、敬也は玄関へと足を向けた。
花菜はキッチンを見回す。かき氷機らしき箱が、少し小さめの棚の上に載っていた。
(あのくらいの高さなら届くかな?)
花菜は棚へと近付いて手を伸ばす。
しかし、思いきり背伸びをしても、指先が少し箱に触れる程度にしか届かなかった。
花菜が諦めて後ろを振り返ると、彼女のすぐ目の前で敦大が棚に手を伸ばしていた。
彼と視線が重なる。
突然の至近距離に、二人で声を上げてしまった。
「わっ!!」
「わっ!! おい、突然振り返るなよっ!」
胸の鼓動が加速して、花菜の顔は一気に熱くなる。そしてふと、何かに気が付いた。
(あれ? おかしい。……なんか、敦大くん、変……)
夏休みに入るのと同時に梅雨が明けた。
真っ青な空に白い雲が浮かぶ。太陽の強烈な日射しが、この世の全てを鮮やかに彩るかのように照らしていた。
「今日も暑いねぇ……」
「兄貴、かき氷作ってくれよ……」
「二人とも、人の部屋でだらだらしておいて、かき氷まで僕に作らせるの?」
「好きでこの部屋に居るんじゃねぇし。母さんが、夏は節電しろってうるさいから同じ部屋に居るだけだし」
敦大の言葉に敬也はため息をついた。
「あ、かき氷を作るなら、私が道具を持ってくるよ。三人で作ろう?」
そう言って花菜は立ち上がった。
「俺、ちょっとトイレ」
敦大が立ち上がって、先に部屋を出て行く。
「一人で全部持ってくるのは大変でしょう。僕も手伝うよ」
「ありがとうございます。助かります」
敬也と二人でキッチンまで下りてくると玄関のチャイムが鳴った。玄関の外から、宅急便ですと声がする。
「はーい。ちょっと出てくるね」
そう言うと、敬也は玄関へと足を向けた。
花菜はキッチンを見回す。かき氷機らしき箱が、少し小さめの棚の上に載っていた。
(あのくらいの高さなら届くかな?)
花菜は棚へと近付いて手を伸ばす。
しかし、思いきり背伸びをしても、指先が少し箱に触れる程度にしか届かなかった。
花菜が諦めて後ろを振り返ると、彼女のすぐ目の前で敦大が棚に手を伸ばしていた。
彼と視線が重なる。
突然の至近距離に、二人で声を上げてしまった。
「わっ!!」
「わっ!! おい、突然振り返るなよっ!」
胸の鼓動が加速して、花菜の顔は一気に熱くなる。そしてふと、何かに気が付いた。
(あれ? おかしい。……なんか、敦大くん、変……)