暴走族の総長様は、私を溺愛してるらしい。

「菜乃」
「…絢辻、さん」
「煌輝でいいよ」

いやいやいや。ダメでしょ。
流石にそこはマナーというものがあります。
…どんなマナーでしょう。

「…じゃ、じゃあ、煌輝くんで」
「煌輝って呼んでくれないの？」
「煌輝くんで」
「頑固だな〜……そこも可愛いんだけど」

絢辻さ……煌輝くんの第一印象は、チャラそうです
誰にでもすぐ可愛い可愛いって言うから。
たいして可愛くもない私にまで言ってくるんですから。
女の子全体が好きなんですね、きっと。

「…可愛いなんて、俺菜乃にしか言わないよ？」
「……」
「ふふ…そんな天然なとこも可愛いよ」

いくらチャラいからって、私だってそんなに言われちゃ照れます。

「煌輝くんは、なんで私の高校なんかに来たんですか？」

しかもあんなグッドタイミングで。
狙わなきゃ来れないでしょう。

「あぁ、それはな。あの高校にスパイがいたんだよ」