暴走族の総長様は、私を溺愛してるらしい。
他の人のことなんかどうでも良さそうなこの先生が、口を開いて3文目に「相談に乗ってやる」なんて言うわけありません。
つまり……

「最初っからそのつもりだった……?」
「お前…人の気遣いをたった今無下にしたぞ」
「先生の気遣いなんていらないですよ」
「そんなこと言うなよなぁ…」

ムッとする先生が、なんだか可愛く見えて…

「ふふっ…ふふふ……」
「…西園寺が笑った!」
「失礼ですね。私だって笑いますよ…ふふ」

なんてたわいもない会話をしていると。

「……菜乃?」
「…あら、煌輝くんではないですか」

道の向こうから煌輝くんが来ていた。

「なんで、先生なんかと一緒にいんの?」
「なんかって言わないでよ…」
「さっき、廊下で偶然出会ってしまって…お金を請求されてるところですよ。ふふ…」
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