暴走族の総長様は、私を溺愛してるらしい。
まあ、今はそれよりも。

「ねえ、菜乃。目、つぶって?」
「え?はい…」

大人しく、言われたままに目を瞑る菜乃。
菜乃が、悪いんだよ。
俺をこんなにさせたのも菜乃だし。
だから、これは…可愛い可愛い菜乃への、ちょっとした意地悪。

ーちゅっ

そっと唇を離すと、真っ赤になった菜乃が映った。
キス1つでこんなに赤くなっちゃうなんて…可愛すぎ。純白すぎ。

「い、いい今、キ……ス……?」
「菜乃が先生と話すから」
「せん、せ…?」
「俺以外に笑顔なのムカついたの」
「……」

流石にこんなあからさまなんだから、菜乃は気付く……

「先生のこと、好きなんですかっ……?」

気付いてなかった。
いや、気付いたけど、なんか違う方にとらえちゃったよ。
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