暴走族の総長様は、私を溺愛してるらしい。
「西園さん。私が彼女に足をかけたのを見まして?」
「いいえ、見ておりませんわ」

西園さんも、この婚約者さまのことをよく思っていないらしく、ひしひしと殺気が伝わってくる。

「嘘だ!お前が彼女を転ばせたんだ!」
「では、百合さんが嘘をおっしゃっていると?」
「それは、僕を心配させないために…」
「…婚約者様は百合さんのことを愛していらっしゃるんですよね」
「当たり前だ!」

「では、百合さんの“勝手に転んだ”という言葉を信じてあげてください?」
「「……」」

はい、勝ちました!

「行きましょう?西園さん」
「ええ」

私は気分がいいまま身を翻した。
婚約者様が睨んでることを承知の上で。
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