暴走族の総長様は、私を溺愛してるらしい。
ーー今がチャンスっ!

私は一目散にドアめがけて突進していき、階段を降りて行く。
上から、我に返ったお付の人たちも追ってくる。

下にはたぶん、暴走族がいる。
でも、捕まるわけにはいきません!
絶対、逃げ切ってみせます。
なんで暴走族がこんなところにいるのかなんて、そんなの知るよしもありません。

走りながら、廊下の角を曲がった時。

「お嬢様を発見しましたっ!」
「……チッ」

舌打ちなんてはしたないけど、別にいまはどうだっていいことです。
捕まることの方がずっといや!!

そう思いながらも、後ろから足音が近ずいてきている。

……逃げ場が、ありませんね。

私の横の壁には窓がある。
その下には、暴走族。
どうしようかと迷っていた、その時--
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