暴走族の総長様は、私を溺愛してるらしい。
教室の入り口から聞こえた、聞き覚えのある声。
振り返らなくてもわかる。この声は…

「煌輝、くん…」
「何やってんの?菜乃」

でも、いつもの優しい煌輝くんじゃありません。
なんか、怒ってます…?

「菜乃。そいつ誰?」
「えっと、私の幼なじみの新城裕翔くんです。あ、裕くん。この人は絢辻煌輝くんですよ」

簡単な自己紹介をしても、裕くんはいっこうに口を開こうとしない。
そして、なぜか煌輝くんはもっと不機嫌になっている。
…なぜ?

「あの、裕くん。とりあえず、離しーー」
「やだ。離さない」

裕くんは離そうとするばかりか、もっとぎゅっと抱きついてくる。
まるで、見せつけているかのように…

なんか、この場の雰囲気がどんどん悪くなっている気がするんですが?
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