暴走族の総長様は、私を溺愛してるらしい。
相変わらず優しい裕くんが、すごく女の子にモテてるのもうなずけます。

「…いい加減にして、菜乃」
「はい?」

いい加減にしてって、何がでしょうか?
なんか、また機嫌悪くなってませんか、煌輝君。

「いつまでそいつと抱き合ってんの」
「それもそうですね。私もそろそろ帰りたいです。裕くん。離してください」

そっと後ろを向きながら言えば、むすっとしながらも素直に離してくれた。

「では、また今度。じゃあね、裕くん」
「……またね」

ちょっとふてくされながらも、ちゃんと返事をしてくれる。
そういうところがモテるんでしょうね。

「行くよ、菜乃」
「え…?」

ぐいっと手を引っ張られ、行くよって言うくせに、強制連行な感じですけど?
と言いますか、これはこれで人に見られたらまずいです。
はたから見れば、ただ単に手をつないでいるように見えてるのでは…?
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