暴走族の総長様は、私を溺愛してるらしい。
「……」

また肝心なところが、かん高い悲鳴でかき消された。
それよりも、引ったくりって!!

声がした方を見ると、犯人がちょうどこっちに向かって逃げてきていた。
かん高い悲鳴をあげた女性のものであろう赤いカバンを抱え、帽子にマスクにサングラス。
どっからどう見ても怪しい。

「どけ!邪魔だ!!」

そっちが勝手に突進してきてるんでしょう。
とはいえ、このまま放置してハイそうですかと通すわけにはいかない。
こっちに突進してくる相手に向かって、一歩踏み出した時だった。

煌輝くんが猪突猛進して行ったのは。

「……!!」
「こっちは真剣に告ってるって言うのに…」

犯人の鳩尾に一発グーパンを決める。

「お前のせいでまた言えなかったじゃねえか!」

後頭部に回し蹴り。

「いいとこでじゃますんじゃねえ!とっとと失せやがれ!」

最後の一撃と頭頂部にかかと落とし。

おー。
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