暴走族の総長様は、私を溺愛してるらしい。
「もっと気持ちをこめたらどうですか?」
「好き!可愛い!」
「うーん…」

これじゃない感がすごい…

「ねえ、ほんとにわかってる?」
「わかってますよ?」

私でお世辞の練習をしているってことくらい。
わかってます。

「お世辞じゃないよ?菜乃に言ってるんだよ?」
「あ、そうなんですか」
「もう!本当に鈍感!!そんなとこも可愛いいけど」
「はあ…」

嬉しいような、悲しいような……?

「わかった!じゃあ、背中文字ゲームしよう!」
「ゲーム…ですか?」
「俺が思ってること全部書くから!嘘偽りなく」

一体、何を書かれるんでしょう。

「はい、後ろ向いて。俺が書いてるの当てて」
「…わかりました」

多少の不安を抱えながらも、くるりと後ろを向く。

「いくよ」
「はい」

背中に文字が書かれていく。
ええと…。
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