暴走族の総長様は、私を溺愛してるらしい。
言ったら、私の今までが否定されてしまうのです。

だから、私は、気付かないふりをしたいんです。

「菜乃もいつか、俺を好きになってね」
「…はい」

苦笑いを浮かべている煌輝くんを見ていると、嘘をついている罪悪感で、押しつぶされそうです。
でも、少しだけ…

私はあなたのそばにいたいんです。

私もいつか、煌輝くんに、自分のことを話したいと思うのは……理解してほしいと思うのは。
きっと、私の中であなたの存在が少しずつ大きくなっているのでしょう。

「私はいつか…煌輝くんを」

好きになるでしょう。
でも…今はまだ、その時じゃないんです。
その時まで、待っててください。

きっと…きっとすぐです。
< 79 / 90 >

この作品をシェア

pagetop