暴走族の総長様は、私を溺愛してるらしい。

「なんでここにいるんですか？煌輝くん」

今は昼休み。
黒板を見てるふりして菜乃を見ていたら、あっという間に授業は終わっていた。

「え？菜乃に会いたかったから」
「それだけでここに入学できたんですか？」
「まあね。ほら、桜井もいるし」
「あの先生にそこまでの権力はないはずです。しかも偏差値ほぼ70なんですよ？煌輝くんって実はすごく頭が良かったんですね」

けなされてるのか褒められてるのか、いまいち微妙なラインだと思う。
まあ、菜乃は褒めてるつもりなんだろう。
『実は』ってあたりが悪意を感じなくもない。

…俺、そんなに頭悪そうに見えるのかな……？
だとしたらショックー…

「煌輝くん？どうしたんですか？ぼーっとして」
「いや、なんでもない。それより、さっきからいろんな視線を感じるんだけど」
「まあ、煌輝くんはカッコいいですからね。違うクラスの子も見にきてるんですよ」