暴走族の総長様は、私を溺愛してるらしい。
その女から白い封筒を受け取ると、そこには、女子が書いたのかと思うほどの丸字で、『果たし状』と書かれていた。

「なんか…果たし状って書いてはあるけど…」
「緊張感のねぇ字だな…総長、行くのか?」
「中身見て決める」

中から紙を取り出し、読んでみる。

〈西園寺菜乃は預かった。
返してほしくば、今から書く所定の場所に来い。
学校から正門を右に出て、大きな家を左に曲がり、そこから大股50歩のところにある、猫の溜まり場近くにある橋の下で待っている。〉

「「………は?」」

菜乃がさらわれた…!!??

「ずいぶん不親切というか、親切というか…」
「行く」
「いやいやいや、ちょっと待て。罠かもしれないでしょ」
「罠だとしても行く」

菜乃が今、危ない目にあってるかもしれない。
菜乃にそんな思いさせたくない。

菜乃、どうか無事でいて…

俺は指定された場所まで、今までの中で最も早く走った。
菜乃が心配でたまらなかった。

煌輝said end
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