暴走族の総長様は、私を溺愛してるらしい。
「今の、何…?」
「え?ええと、なんのことでしょうかっ…?」

だめだ。声が上ずってしまう。

「今、楓がいたよね?」
「見間違いではないでしょうかっ?」
「楓がいたよね?」

この聞き方は、楓がいたと確信している聞き方だ。

何も答えない私を、静かに見つめる煌輝くん。
睨まれているわけではないのに、なんとなく怖さを感じる。

「……はい」

結局、私は白状してしまった。

「…楓のことは好き?」

何を言われるのかと待ち構えていた私にかえってきたのは、そんな疑問。
楓のことは好き?
好きか嫌いかで聞かれれば、好きな方に入る。

「好きですよ?」
「それは、恋愛的に?」
「そんなわけないじゃないですか。楓は私の執事ですよ?」
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