加納欄の受難 シリーズ1 シーズン1
祥子先輩はあたしの首を絞めながら話した。

「し、祥子先輩。クルシイ・・・」



だって・・・言えないよ。



簡単には・・・。



大山先輩があたしのこと何とも思ってないのわかってるし。



・・・壊したくないんだもん。



今の関係・・・。



あたし、臆病かな・・・。



大山先輩と、一緒に仕事ができるだけで満足しちゃうのって。



祥子先輩に気付かれてるんだから、大山先輩も気づいてるのかな・・・。



気づいてて、知らないフリを装ってるのかな・・・。



・・・眼中にナイ。



が、正解だろうなぁ(-_-)



ナイヨネ・・・。



合コン事件の時も、宿直逃亡事件の時も、先輩私の気持ち気づいてなさそうだったもんね・・・。



ハァァァァァ。



 ふか~いため息がでた。

 トゥルルル。
 トゥルルル。

 デスクの電話がなった。

「はい。南署捜査科」

「欄か?」

 今度はまぎれもなく、高遠先輩の声だった。

 あたしは慌てて素早く課長を見て声を潜めた。

「どこにいるんですか?課長は怒ってるし、大山先輩も探してますよ」

「・・・ホテルだ」



ホテル?!



「欄。開示山3丁目のエクセレントホテルに来てくれ」



え?



そんなっ!



誘われてる?



「ま、待って下さい。そりゃ、私、高遠先輩嫌いじゃないですけど、その、なんていうか・・・ホテルって・・・」

「何言ってるんだ。お前は。いいからとにかく来い。死体があるんだ。鑑識連れて来いよ」

「死体ぃぃ?」

 思わず叫んだ声に皆が振り向いてしまった。



ア・・・。



「現場は?」

 課長が聞いてきた。



マズイ!



「とりあえず、すぐ向かいますから」

 小声でそう言って電話を切った。

 そして、課長には。

「たれ込みです。寝ぼけた声のおじいちゃんの声でしたから。確認だけしてきます」

 あたしは慌てて署を後にしようとしたら、ちょうど大山先輩とぶつかった。

 思いっきり。ガツン!!って。

「ったぁ~」

「ってぇ~」

「せ、先輩・・・。戻って来たんですかぁ」


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