加納欄の受難 シリーズ1 シーズン1

　あたしはおでこをさすりながら聞いた。

「戻って来いって言ったろ？なに慌ててたんだよ。タカからは連絡ねぇし。朝から情報屋はガセだったし、お前は勢いよくぶつかってくるし散々だぜ」

　あたしは慌てて大山先輩の腕をとると、誰にも見られないように、大山先輩をちょうど死角になる収納室まで連れて行った。

「なんだよなんだよ」

「しっ！高遠先輩から連絡入りました。開示山のエクセレントホテル。死体があるからすぐに来てくれって」

「なんだよあいつ。そんなとこにいたのかよ」

「どうします？」

「どうするって、決まってんだろ」

　あたし達は足早に署を後にした。




　高遠先輩に指定されたホテルに着いたはいいが、その場に高遠先輩はいなかった。

「なんで・・・？」



ホントに・・・。



ナンデイナイノヨ(-.-;)



「ここって言ったのか？」

　大山先輩もいろんな部屋を確認しながらあたしに聞いた。

「はい。このホテルです。部屋番号聞かなかったですけど、ここじゃないんですか？このベッドの血からみて」

　署から出たあたし達は大山先輩の覆面車で指定されたホテルに向かった。

　フロントに行こうとしたら、ホテルの従業員らしきお兄さんが数人慌ただしくしており、話しを聞いたら部屋はもぬけの殻になっていて、ベッドに血がついている。

　と、報告を受けた。

「まさか・・・この血」



高遠先輩？！



「馬鹿なこと言うな！タカが電話してきたんだろ」

　

ソウデスケド・・・。



声のハリは、いまいちだったかもしれないけど。



状況確認もできてたし、口調もはっきりしてたんだから、先輩事態には、今は最悪な状況ってことはないよね。



いなくなったこと以外に。



　独り言のように呟いていた。

「鑑識に任して行くぞ」



え？？



行っちゃうんですか？



　先輩に要請するように言われて連絡を入れておいた鑑識班が現場について、仕事を始めだした。

「高遠先輩の手がかりは？」

　従業員と話をしてきた大山先輩に聞いた。

「最初に酔っ払いの男女がこの部屋に入って、直後に男がもう１入、入ったらしい」

「高遠先輩の顔確認は？」