Only you〜伝えたかった、たったひとつのこと〜
「おはよう。」


そんなことを朝から考えていた私の後ろからボソッとした声の挨拶が。澤城くんだ。


「おはよう。」


私は振り返って、挨拶を返すけど、彼は振り向きもしないで、そのまま席に行ってしまう。


あの言い合いをしてしまったあの日から、私達は、しばらくは本当に口もきかない有様だったが、さすがに最近はまた朝夕の挨拶くらいは交わすようにはなった。


でもタイミングが合わなければ、わざわざ声を掛けに行くようなことはないし、あれ以来、仕事での接触もほとんどなく、私達の間には、なんともよそよそしい空気が。


もともと、お世辞にもフレンドリーな人じゃないけど、最近ますます意固地になって、周りに壁を作ってるような思えるのは、気のせいなんだろうか?


課長は、澤城くんのコミュ障をなんとかしてやりたいと、彼に試練を与えてるんだけど、その思いはちゃんと伝わってるのかな?なんかかえって逆効果になってる気も・・・。


私もそんな澤城くんが心配じゃないわけじゃないけど、なんとなく、最近は声を掛け辛い雰囲気を感じてしまっている。


そうこうしているうちに、9時になり、業務開始。


さぁ、今週も頑張らないと!
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