Only you〜伝えたかった、たったひとつのこと〜
「小川が俺と付き合ってることは知ってたのか?」


と詰問調で聞いて来る男。


「付き合っているのが、誰かは知りませんでしたけど、彼氏がいるっていうのは石原から聞いてました。」


「石原さんから?」


「ええ、俺達は今、会社の同僚ですから。はっきり言って、小川と俺は普段連絡取るような間柄じゃないですし。昨日会ったのも、GW以来でしたし。」


「ああ、思い出した。確か、GWに学校に来たよな?小川と待ち合わせてるとか言って。」


おっと、そう来たか。全くか細い事実を繋ぎ合わせて来やがって。


「ええ、それが中学卒業以来の再会。そのあと、石原と3人で亡くなった中学時代の友人の墓参りに行って、昨日が3回目ですよ。」


俺はそう言うと、小川を見た。


「小川、お前の携帯見てもらえば、話は早いじゃねぇか。俺達が普段、連絡なんか全然取ってないこと、一目瞭然だし。」



「携帯なんて、履歴消せば、わからないだろうって・・・。」


小川のその答えに、俺は呆れてしまう。なんだ、コイツと思いながら


「じゃ、俺の携帯見ますか?」


と言うと


「携帯なんかいい。それより付き合ってる相手がいる女性と、2人で飲みに行くなんて、常識がなさ過ぎるんじゃないか?」


はぁ?段々俺は腹が立って来て


「ええ、まずいんじゃないの?って言ったら、小川はこう言いましたよ。『別に悪いことしてるわけじゃないし、第一知られったって、彼氏は別になんとも思わないよ』ってね。」


と言い放った。その瞬間、小川は顔を伏せ、石原は何言っちゃってるの、と言わんばかりの表情で、俺を見る。


「おい、小川、それどう言うことだ?」


男が小川を睨むから


「そりゃ、いつもあんたが小川をないがしろにしてるからでしょうが!」


「ちょっと澤城くん・・・。」


慌てて、石原が間に入ろうとするが、俺はもう完全にアタマに来てた。
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