Only you〜伝えたかった、たったひとつのこと〜
その後、小笠原さんからは電話やメールが何度かあったけど


「ごめんなさい、さっき申し上げた通りです。少なくても、明日はお目にかかれません。」


と1度だけお返事して、あとは電話にも出なかったし、メールにも反応しなかった。
 

そして今、私は美里と会っている。昨夜、小笠原さんと別れたあと、いろいろ聞いて欲しくて、美里に電話したら


『じゃ、明日会おうか?』


って言われて


「えっ、明日なんて私と会ってる場合じゃないでしょ?」


と言ったら、ぜ〜んぜん大丈夫だって笑ってた。


会って聞いたところ、彼氏は今日はバトミントン部の対外試合で、休日出勤なんだって。


「今のアイツらには実戦経験が必要だからって、対戦相手探す為に、電話掛けまくったらしいよ。生徒はまだ中学生だけど、デートの予定ある子もいるだろうし、何もこんな時期にわざわざと思うんだけどね。」


と苦笑い。あれから彼氏とはようやくお互い名前呼びになったし、手繋ぎもキスもするようになったそうだけど、その先のことについては


「まだ結婚もしてないのに、とんでもない。もし、そんなことをしてしまったら、聖職にある者として、生徒に示しがつかない。」


んだそう。


「一体何時代の人なのよ、って言いたくなるよ。まぁ、変なのに惚れちゃったって、諦めるしかないよね。」


そう言いながらも、美里の表情は幸せそう。そう言えば、なんか似たような考えの人の話を最近、栞菜ちゃんから愚痴混じりに聞かされたな、なんて思ったりした。
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