Only you〜伝えたかった、たったひとつのこと〜
⑤
翌日、目を覚ました俺が、時計に目をやると、既に正午に近かった。
胸糞悪い飲み会から帰って来たあと、家で飲み直した俺は、どうやら風呂にも入らず、そのままベッドに潜り込んでしまったようだ。
「兄さん、いい加減に起きてよ。いつまで経っても片付かないじゃない。」
するとしびれを切らしたような声が、ドアの外から。妹の栞菜だ。
「すまない。今、目が覚めたんだ。すぐ降りるよ。」
そう返事をすると、俺は起き上がった。
下に降りた俺が、まず仏壇に手を合わせたあと、食卓に向かうと、そこには妹の手で、朝食が並べてある。
「サンキュー。」
そう妹に声を掛けた俺は、手を合わせると箸を付ける。
「健吾は?」
「もうとっくに出掛けたよ、就職活動で。」
健吾は3つ下の大学4年生。今は、就職活動に追われる日々。
「じゃ私も出掛けるから。あと、よろしくね。」
そう言い残して、食卓を出た栞菜は誕生日が来れば、20歳の大学2年生。高校時代から付き合っている彼氏が居て、きっとこれからデートなのだろう。
果たして少ししてから、明らかにめかし込んだ恰好で顔を出した栞菜は
「行ってきます。ちゃんと片付けといてよ。」
と言って、足取りも軽く出て行く。全く料理も後片付けも、お前に教えたのは、俺だろうに。俺は、思わず苦笑いだ。
そして、家には他に誰も居なくなった。
胸糞悪い飲み会から帰って来たあと、家で飲み直した俺は、どうやら風呂にも入らず、そのままベッドに潜り込んでしまったようだ。
「兄さん、いい加減に起きてよ。いつまで経っても片付かないじゃない。」
するとしびれを切らしたような声が、ドアの外から。妹の栞菜だ。
「すまない。今、目が覚めたんだ。すぐ降りるよ。」
そう返事をすると、俺は起き上がった。
下に降りた俺が、まず仏壇に手を合わせたあと、食卓に向かうと、そこには妹の手で、朝食が並べてある。
「サンキュー。」
そう妹に声を掛けた俺は、手を合わせると箸を付ける。
「健吾は?」
「もうとっくに出掛けたよ、就職活動で。」
健吾は3つ下の大学4年生。今は、就職活動に追われる日々。
「じゃ私も出掛けるから。あと、よろしくね。」
そう言い残して、食卓を出た栞菜は誕生日が来れば、20歳の大学2年生。高校時代から付き合っている彼氏が居て、きっとこれからデートなのだろう。
果たして少ししてから、明らかにめかし込んだ恰好で顔を出した栞菜は
「行ってきます。ちゃんと片付けといてよ。」
と言って、足取りも軽く出て行く。全く料理も後片付けも、お前に教えたのは、俺だろうに。俺は、思わず苦笑いだ。
そして、家には他に誰も居なくなった。