Only you〜伝えたかった、たったひとつのこと〜
「と言うことで、だ。」


と改めて私を見る澤城くん。


「俺の方も一言、言いたいんだけど。」


「はい。」


「俺の一世一代の告白に対する、お答えをまだ、もらってないんだけど。」


「えっ?」


ちょっと怒ったような、そのくせ切ないような澤城くんの表情に、私は自分の迂闊さに気付いた。


「そ、そうだよね。ごめんなさい。」


そう言うと、私は急いでベッドを降りた。そして、パジャマ姿で、澤城くんの前に立った。


「アズ・・・。」


「前にも一度、申し上げましたけど・・・私も澤城くんのことが、好きです。どうかよろしくお願いします。」


そう言うと私は、ペコリと頭を下げた。そして、顔を上げて、見つめ合う2人。


「アズ・・・。」


「ヒロ・・・くん。」


私の名前を呼んでくれた彼に、私も初めて名前で呼び返した。とっても恥ずかしかったけど・・・でもとっても嬉しくなった。


「ヒロくんか・・・悪くない、あんまりそう呼ばれた記憶ないし。アズだけの俺の呼び名。他の奴には、絶対呼ばせねぇから。」


「うん・・・。」


そしてまた見つめ合う私達。そして、そのままヒロくんの顔が近付いて来る。


いよいよ・・・私の鼓動は最高潮。瞳を閉じて、その時を待つ。そして・・・


コツン、えっ・・・


「痛い。」


額に軽い衝撃が走り、私は思わず目を開ける。ヒロくんの額と私のそれが、コチンしたみたい。何が起こったか、理解出来ずに私が、キョトンとして、彼を見上げると


「ここから先は、アズが退院してから。病院でこれ以上、不謹慎なことしたら、強制退院させられちまうぞ。」


って笑ってる。


エ〜、やっとカレカノになれたのに、ハグもチューもなしどころか、頭突きって酷過ぎない?


私がちょっと膨れ面になってると


「ゴメン、痛かったか?親愛の意味を込めて、軽くぶつけたつもりだったんだけど・・・。じゃ、お詫びに痛みが治まるまじないを。」


と言うやいなや、私のおでこにキスを降らすとヒロくんはニコリと微笑む。


なんか誤魔化されたような、でも・・・その笑顔にキュンとしてしまったのも確か、でした・・・。
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