Only you〜伝えたかった、たったひとつのこと〜
連休の前半が終わって、今日明日は出勤。


「楽しかったよ〜、梓も来ればよかったのに。」


中華料理と買い物を満喫して、ご機嫌の千尋からお土産をもらった。後半の4連休は学生時代の友達と会ったり、合コンもあるそうで、やっぱり多忙のようだ。


中2日の仕事は


「ま、それなりに。」


だそう。こうやって言うと、いかにもいい加減に見えるだろうけど、実は何をやらせても鈍くさい私と違って、やるべきことは手早く、キチンとこなす。同期だけど、仕事上では頼りになる姉貴分のような存在。


「梓、休み中のイベントで上がった消費者アンケート、纏まった?」


「うん、もう少し。」


「午後一には、隣(企画課)に回さないと。大丈夫?」


「わかってる。」


そんなやり取りをしながら、午前中は過ぎて行く。


昼食をはさみ、今度は企画課や研究室とのやり取りや、取引先との連絡に追われる。GWの合間の営業日は、思わぬ事態に遭遇することが珍しくなく、普段とは、違った緊張感があるが、お陰様で、今のところは大丈夫そう。


少し覚悟していた残業もなく、私は定時であがろうとすると、横で何やら携帯をイジっていた千尋が


「梓。」


と声を掛けてきた。


「なに?」


「あんた、4日、空いてない?」


「どうしたの?」


「実は、この日、合コンなんだけど、1人女子の方、欠員出ちゃってさ。」


「えっ?」


その千尋の言葉に、私の表情は曇る。


「梓の合コン嫌いは、わかってるんだけどさ。そこをなんとか、お願い。」


済まなそうに私に手を合わせる千尋。
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