Only you〜伝えたかった、たったひとつのこと〜
「なんか柄にもなく、熱く語っちまったな。まぁ、でも俺が言いたいことは伝わったかな?」


照れ臭そうにそう言った課長に


「はい。」


私達が頷くと


「OK。じゃ、そう言うことで、午後からまたよろしく。メシにしましょう。」


と言って、課長は席を立った。


課長が、隣の課長と食堂に向かうのを見送ると、私達は顔を見合わせ、フッとため息をついた。


「ハハハ。」


すると、横あいから突然笑い声が。ビックリして、その方を見ると


「部長。」


「だいぶやられたみたいだな。」


「はい・・・。」


からかうような部長の言葉に、私達は苦笑い混じりに頷く。


「でも彼はあんな熱い男だったんだな。ちょっと意外だったな。」


「そうですね。」


「新任の若い課長だからって、迎えるこっちも構えてた部分があるし、向こうもある程度肩肘張ってたろうしな。だが、もっとビジネスライクなのかと思っていたが、案外ウェットな人間関係もお好みなのかもしれん。」


そうなのかな・・・部長の言葉には、頷けるものがあった。


「ところで、ずっと気になっていたんだが、実はああ見えて、みんなとの飲みニケーションにも意欲満々と思われる小笠原新課長の歓迎会は、どうなってるのかな?」


えっ、結局最後はそこ?私は思わず、部長の顔を見てしまった。
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