Only you〜伝えたかった、たったひとつのこと〜
そして週末の土曜日、私は久しぶりに美里と会った。なぜ、久しぶりかというと、美里に彼氏が出来たから。


GWに佐久間くんのお墓参りをしてから、2ヶ月くらい経った頃だったろうか。


「梓に報告がある。」


とある日、仕事帰りに呼び出されて、その事実を告げられた。


「良かったね、それでどんな人なの?」


突然のことで、驚いたけど、次に我が事のように嬉しくなった私が尋ねると、


「うん、中学時代の2年先輩でさ・・・。」


えぇ〜?と更に私が驚きの声を上げると、美里にとっては、バトミントン部に入部した時のキャプテンで、現在は母校の教師になって、バトミントン部の顧問を務めているんだとか。


美里が最近、たまにバトミントンをやりに母校を訪れているのは知っていたけど、まさかそんなことになってるとは・・・。


「私は一応OGだけど、ご存知の通り、部活には熱心じゃなかったし、先輩とは現役の時にはほとんど接触もなかったんだ。私が今年の初めに、本当にたまたま母校に顔を出したら、先輩と再会して、バトミントンやりたいなら、後輩の面倒見がてら、来いよなんて言ってもらって。最初のうちはただバトミントンが久しぶりにやりたくて、行ってたんだけど、そのうちに・・・。」


熱心に生徒達を指導している様子や、後輩の面倒どころか、足を引っ張りかねなかった自分にも優しく接してくれる姿に、だんだん惹かれていったのだそうだ。


「翔真くんのお墓参りも出来て、自分の心の中で1つの区切りがついたこともあって、思い切って告白したら、『俺、お前をそんなつもりで練習に参加させたんじゃない』って戸惑われて、一旦は保留されちゃったんだけど、ひと月くらいあとに『待たせてゴメン。いろいろ考えたけど、俺もやっぱり小川のこと、好きだ。』って言ってくれて・・・。」


頬を紅く染めて、そう報告してくれた美里はとても可愛いかった。
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