運命が紡いだ物語
この日記には、父さんの医療ミスのことが書かれているはず。

家で見る勇気はなくて、私は前を歩いてた翔大の腕をつかんだ。

「どうした?」

「日記を読みたい。」

そういった私を見て翔大は、
翔大の腕をつかんでいた私の手を取り歩き出した。

私たちはしばらく歩き駅からほんの少しだけ離れた広場に来た。

誰もいないその広場のベンチに二人で腰を掛けた。

「花・・」

翔大はそう言って私の手を強く握りしめた。

「大丈夫。」

私は自分に言い聞かすようにそう言って
日記を開いた。

ページをめくりながら探してるのは、私がけがをした日のこと。

あっ・・あった。

何月かも、何日かもわからなかったのに。

私は見つけてしまった・・

この日記では絶対に見つけたくなかった名前を。

そこにはしっかり

咲野

という名前が書いてあった。

これですべてがつながった。

私の目から、一筋の涙が流れた。
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