運命が紡いだ物語
5歳の時の記憶なのに、あの日のことは鮮明に覚えていた。

─『向こうで遊んでなさい。』

そう言われた私は別の部屋で絵を書いて遊んでた。

その絵がうまくかけたから『ママ』に見せたくて、私は母たちがいる部屋に行ってしまったんだ‥

目の前に広がる光景は、最悪なものだった‥

『パパ‥?』

動かなくなった父をみて私は思わず声を出した。

その声で私の存在に気づいた母は、
私の元へ駆け寄ってきた。

『あみ。
ピンポンがなったら、出てくれる?
それまで、この部屋には絶対に来ちゃダメだからね。
わかった?』

『うん!
わかった!!』

まだ当時5歳だった私は、なんにも分からず母の言うことに従うことしかできなかった‥

自分の部屋に戻った幼い頃の私は、言いつけ通りピンポンが鳴るまで母たちがいる部屋には行かなかった。

ピーンポーン

ガチャ

『あー!
あみちゃん!!お母さんいる?』

そう言って家に来たのは、

大家さんでもあった、今のお母さん。

お母さんはそれから父と母を見つけて、警察へ連絡してくれた。

私は警察の人に引き離されるまでずっと全く動かない母に抱きついていた。

狂ったように泣き叫ぶ私を、お母さんは優しく抱きしめてくれた。

私はお母さんの腕の中で、震えながら泣き続けた‥‥─
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