運命が紡いだ物語
「翔大と坂下さんうまくいくといいね。」

今度はいつもの優しい笑顔で咲野君は言った。

さっきのはそんなに深い意味はないのかな・・?

咲野君はやさしいから、体調が悪くて倒れた私を助けなきゃいられなかったのかも・・。

うん、そうだよね!きっと・・。

「うん!
咲野君も知ってたの?
翔大が結愛のこと好きだって。」

私は咲野君もそう思ってくれていたことがうれしかった。

「なんとなく気づいてた。
わかりやすいから。」

「そうなんだ・・。
翔大と一緒にいることが多いせいか私全然気づかなかった。
翔大に言われて初めて気が付いたんだよね・・。」

「牧原さん、ほんとに二人の話になると幸せそうな顔するね。」

無意識だった私は少し驚いた。

「そう?
でも、翔大も結愛も私にとっては大切な人だから。
そんな二人が結ばれるなら私は何でもしたいんだ・・。」

「そっか・・・。

・・俺も牧原さんの大切な人になりたい。」

「えっ?・・・」

いまなんて・・・?

たいせつなひと・・・って言った?

私の聞き間違い?

「あっ、いやなんでもない。
今の聞かなかったことにして。」

そう言って、教室に戻っていった咲野君を見ながら私は動揺していた。
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