徒花
夜の街を、ネオンが明るくチカチカときらめく。
闇に繰り出す奴らが、街を闊歩する時間。
俺達は、男達の呻き声を聞いていた。
「オラオラオラオラァ!その程度かオイ!」
「俊輔。相手をこっちに蹴飛ばすな」
「力加減が出来ねぇからなぁ、俊輔は」
バキィ、ドガシャーン。
相手が30人近くいたにも関わらず、俺達はたったの5人で会話をしながらあっという間になぎ倒していく。
「……つまんね」
俺に向かってきた1人を蹴り飛ばし、ひとりごちる。
張り合いがねぇ。なさすぎる。
思わずついたため息に、隣にいた黒髪短髪が苦笑した。
「まぁ、俺達じゃ相手になんねぇよなぁ。もっと下の奴に任せるべきだったか」
思わず頷くと、自分より図体のでかい男を殴り飛ばしたもう1人の仲間がこちらを振り向いた。
「いやでもさぁ、そろそろあいつら相手にすんのも飽きてきてたじゃん?累だって、賛成してたっしょ?」
「……思ってたより弱かったんだよ」
「まぁそうだけどー」
おちゃらけたような口調で言いながら、そいつは襲いかかってきた男を右足1本で蹴り飛ばした。