小指
「佐伯さんと智って同中だったんだろう?」

林くんが智くんに話を振った
智くんはすぐに頷くと
私と目を合わせて微笑んでくれた

「ずいぶんと他人行儀じゃねえ?
クラス別だった?」

「2年のとき、同じクラスだったよ」
智くんが答えた

なんか気まづくて
私はストローを口につけて
ジュースを飲んだ

「喧嘩した?」
林くんは私の顔を覗き込む

私は首を横に振った

「実は元カノ、元カレ関係だったりして?
智の浮気で別れた、とか?」

林くんの突っ込みに
私の心臓が跳ね上がった

「俺は浮気しないよ」

「じゃあ、佐伯さんが?」

「佐伯さんもそういう子じゃないよ」

林くんの質問に
智くんが淡々と答えていく

その会話を他の4人が静かに聞いていた

「じゃあ、なんで?
そんなに仲が悪いの?」

「あ~
それは、いろいろとあってね
話すと長いから
今日は、もうおしまいってことで」

食いついてくる林くんに
私が口をはさんだ

智くんを見てた林くんの視線が
私に向いた

「いろいろって?」

「う~ん、いろいろ」

「だから、その内容だよ!」

「中2の冬にゲームで負けて
罰ゲームで君塚くんに
私がチョコをあげたの

クラスのみんなの前で
告白タイム~!みたいな感じで
冷やかされながら
チョコをあげたわけ

そんな私に同情して
君塚くんがチョコを受け取ってくれた

そんなこともあって
ちょっと気まづいな~って感じ?」

早口で一気に過去の話をした
早口すぎて
理解してないかも?
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