小指
「あ!
お礼しないと
バレーボールの特訓
嬉しかったよ

湿布も

何かお礼したいけど
何がいい?

高い買い物はダメだよ」

「お弁当」

「はい?」

「春香ちゃんがよく
昼食に作ってくれてたでしょ?

お弁当、美味しかったから

早弁用と昼食用で二つ」

智くんの頬が赤いような
夕陽のせいかな

「いいよ
でも学校で渡すのはちょっと…

朝、駅で渡すよ」

「俺、朝練しに行くから
早いよ?」

「大丈夫!
何時に電車に乗ってるの?」

「5時だけど
本当に平気?」

が、頑張ります

ちょっと予想外
もうちょっと遅いと思ったけど

「私、こっちだから」

「うん」

曲がり角でそう言って
私は曲がる

でも智くんはついてきた

「智くん?」

「家まで送るよ」

「悪いよ」

「送りたいから」

智くんは
家の門まで送ってくれた

家の中に入ろうとした
私の手を掴んだ智くんは

キスをしてくれた

ホントに
唇が触れあったの?と

聞きたくなるほど
短くて
早いキスだったけど

嬉しかった

耳まで真っ赤になった
智くんの顔が
初々しくて
ドキドキした
< 16 / 19 >

この作品をシェア

pagetop