一緒に歌おう〜国も、色も、血も越えて〜
最初は、からくりピエロや1925など簡単なものを練習として弾いていく。次に、サンドリヨンや六兆年と一夜物語など難易度を上げていく。

カミサマネジマキ、カゲロウデイズ、炉心融解などを弾き、ボーカロイド曲難易度でも人間の限界とされる空想フォレストや初音ミクの激唱も弾いてみた。

「Ausgezeihnet!(素晴らしい!)あなたはやはり天才ね!プロになれるわ!」

先生は大げさなほど拍手を送る。音羽は恥ずかしくなり、赤い顔を先生からそらした。

胸はドキドキと高鳴っている。全身で、先生の言葉を喜んでいた。音羽の夢はプロのピアニストになることだ。音楽の都の先生に言われると、夢に一歩近づけたような気がする。

音羽が喜びを噛み締めていたその時、バタンと大きな音が廊下から聞こえてきた。

「何でしょう?楽器を演奏している生徒の邪魔になりますね……」

先生がため息をつきながら扉を開ける。音羽は気にせず次に演奏する曲を選んでいた。
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