Fall -誘拐-
第11章
前編
第11章
1998年 - 2016年
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「こごえた両手に~♪
息をふきかけて~♪
しばれた体を あたためてぇ~~!!!♪
生きる事がつらいとか♪
苦しいだとか言う前に♪
野に育つ花ならば♪
力の限り生きてやれ~♪」
最後の曲はいつも、
神と崇める松山千春と決めていた。
目の前には・・・・・・・・
誰もいない、横浜の夜。
最後のコードを鳴らし、
今日も観客無しとなった路上ライブがひっそりと終わる。
「・・・・・おっ!10円!」
目の前に設置した空き缶。
お金が入っていたのは何日ぶりだろう。
僕としたことが悦に入って、
いつの間にか見逃していた10円玉を大事にポケットにしまっ・・・。
「・・え?・・・・うわっ!!」
さ・・貞子!!?
片付けをしながら何気なしに見た角。
今年、日本中に一大ムーブメントを起こした映画「リング」。
それに出てくる貞子を彷彿とさせる・・長い髪を垂らして俯く女性が立っていた。
真っ白な服じゃないだけまだマシだったけど・・・。