Fall -誘拐-
その刑事と会話をしながら・・
必死に平静を保ちながら・・・
僕の頭の中に・・
あの時の東条さんの言葉が・・
東条さんが腕の中で息を引き取る間際。
僕の目を見つめて、必死に口を動かしてくれたあの時の光景がフラッシュバックする。
“大丈夫だ西平君。
きっと君の力になってくれる刑事が警視庁にも必ずいる。私の勘は当たる。”
「西平ヤスシ。現時刻を以て4件の殺害容疑で通常逮捕する。
手錠かけるから両手出せ。」
「・・お前・・・名前なんだ・・?」
「神野シン。」
「いいねぇ・・・。
お前とはまたどこかで会う気がする。」
「あんた自分の立場分かってるのか?
4人もの命を奪った上に、
被害者への尊厳の欠片も無い残虐な手口。
言い訳なら取り調べでたっぷり聞いてやるが・・俺に会うどころか、
もうシャバの空気は吸えないと思え。
大人しく・・・
死刑判決を受け入ることだな。」
「・・・・・いいや・・・お前とはいつかまた会う。俺の勘は当たる。」
「・・・・・・・・・・・・。」
「死刑か・・・・フッ・・・フッ
・・俺は死なねぇぜぇ・・?」
彼に賭けるしかない・・・・!!
全国が注目する場で・・・
彼の目にも止まるような場で・・
僕が出来る最後の力を振り絞って・・警視庁と神奈川県警を巻き込ませるしかない。
第11章 完