Fall -誘拐-


「・・・・・ヒデさん。
寝袋もう1つありますか?」


『はい。予備を常に1つ持っています。』


「じゃあ・・・しばらくは俺もここに泊まらせてもらいますよ。」






A~Dは西平に殺害された、
同情すべき被害者・・のはずだった。


だから堺班は当時、名前や住所や勤務先などの必要最低限の情報しか集めていなかった。


しかしこうなった今、
状況はガラリと変わった。


ヒデさんの指摘通り、俺達が調べるべきは20年前の彼らについて。


“今”を調べる何倍も、
“過去”を調べる方が難しい。

しかも遡る年数に比例して難易度は増す。




「・・・・・・・・・・・・・・。」


『・・・・・・・・・・・・・。』



だけどそんな事は俺達には関係ない。


捜査6課に・・ヒデさんや俺の辞書に、
“諦め”なんて言葉は無い。



東条警部・・・そして西平・・・。

20年に渡ったバトン・・
正義の系譜は俺達の手に渡った。



西平を、イカれた“快楽殺人鬼”で幕引きさせるわけにはいかない。


東条警部を、誘拐犯に屈した“敗北者”のまま終わらせるわけにはいかない。







夜を徹した確認作業、

朝昼を跨がった聞き込みは何日にも及んだ。





















 









 




 

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