Fall -誘拐-
ヒデさんが見つけた4人の共通点。
そこから導き出したXの正体。
話を聞かされればされるほど、昨日までに捜査して見つけた“点”は“線”となり、
俺の眠気も完全に吹っ飛んだ。
「今すぐ・・横浜に行ってくる!!」
そのままの勢いで部屋を飛び出・・・
『神野くん、少しお待ち下さい。』
勢いよく飛び出て行こうとしたところでヒデさんに呼び止められる。
進む気持ちと止まる気持ちの惰性で、
扉におでこをぶつけた・・・・。
「なんすか!?」
『もう時間がありません。
彼はかなり頭がいい人間です。
正攻法でいっても、イタズラに時間を消費されるだけかもしれません。』
「そんなことはさせねぇよ!!
俺がゲロ一滴残らず吐かせてやる。」
『その強さが神野くんの武器だとは承知していますが、
正直に言って、
今回の相手と君は相性が悪いです。』
「じゃあどうしろって言うんだよ!?」
『正攻法ではなく、奇襲を仕掛けます。』
「・・?」
『探偵七つ道具を使いましょう。』
「!?」
普段使ってる高性能トランシーバー、ポケットカメラ。
夏に一度使った・・
ほぼ本物と見間違う水鉄砲。
ヒデさんが棚を開けて、
4つ目を俺に渡した。
『演技力はありますか?』
「俺達は役者じゃなくて刑事ですよ?」
『シチュエーションは現場の君に一任します。必ず成功させてください。』
「・・・・・・・分かった。」
受け取った4つ目をポケットにしまって、今度こそ部屋を飛び出して横浜へと向かった。