Fall -誘拐-


病院の中へ入って、
しらみつぶしに探し回る。


診察室でもなければ、入院病棟でもなければナースステーションでもない。

これだけでかい病院の・・
あれだけの名医だ・・・・。

恐らくどこかに、徳永だけに与えられた研究室のような場所があるはず・・!








『今、病院内の案内図を見ています。

外来診療棟よりも、
臨床検査棟が怪しいかもしれません。』


「・・・・そこって・・
地下の表示はありますか?」


『いえ・・1階~3階フロアの案内になっています。』


「・・・・・・・・・・・。」



目の前に“これより先 関係者以外 立ち入り禁止”の立て看板が現れた。


その先に・・下り階段が続いている。


「・・・・・・・・・・・・・・。」


吸い寄せられるようにその看板を越えて階段を降りた。


薄い蛍光灯に照らされ、

深夜の病院というシチュエーションに映える暗さの中、1階から地下へと降り・・


「・・・・・・・・・!?」



降りた先、掌サイズの黒いタッチパネルが横に配置された自動扉が現れる。


たぶん・・指紋認証だな・・・。

その前に立つが、
当然のように扉は開かなかった。


< 193 / 208 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop