Fall -誘拐-
<この前話した刑事がまた来ました。
ですが安心して下さい。
全く見当違いな結論に至ったようです。
これで・・もう私達の邪魔が入る心配はありません。>
右耳から聞こえてくる声が、
雑音混じりから鮮明になっていく。
俺のすぐ近くに発信器がある事は明白だった。
『神野くん、もう少しで神奈川県警も到着します。礼状を取ってそこを調べましょう。』
「・・・・・そんなの待てねぇよ。」
『なにするつもりですか?』
「なんかあったら、
ヒデさんが責任取って下さいよ。」
扉から離れて助走距離を取る。
『まさかとは思いますが、
蹴破るつもりじゃないでしょうね?』
ヒデさんの問いに答えるより前に、
扉に向かって思いっきり走り出す。
“パリンッ!!!”という音と共に、砕け散ったガラスの破片が体の節々に突き刺さった。
「・・だぁっ痛てぇ・・・!!」
『終わったらすぐに手当てして下さい。』
「そうするよ。ここは病院だからな。」