Fall -誘拐-
――――――
“ガチャリ”
「・・・・・・・・・・・。」
「・・神野刑事でしたか・・・。」
その部屋に入ると、
廊下の薄暗さとは対照的に、
真っ白な壁、真っ白な照明が包んだ。
あれだけでっかい音がしたんだから、
どうやら“誰かが来た”と勘づいたらしい。
てっきり機材や医療道具が溢れていると思ったら、
かなりシンプルに机と椅子、
そしてソファが置いてある中・・
徳永が俺を待ち受けていた。
「どうやってここに?」
「蹴破った。」
「夜にお聞かせ頂いた話は嘘ですか?」
「あんたを油断させる為だ。」
「・・・動悸も?」
「その左腕の裾の裏側。
丸いシールみたいなのが付いてるだろ?
あんたに肩貸してもらった時に付けた発信器だ。」
「・・・・・・・・・あなたは今すぐ刑事を辞めて役者になったほうがいい。」
「リカさんはどこだ?」
「・・・・・・・・・。」
徳永が部屋の奥にあった扉を指さした。
どうやらここも地域PR課のように、2つの連なった部屋で構成されているらしい。
「ご案内します。」
「・・・・・・・・・・・・。」
手招きをする徳永の後ろに続いて、
その扉の先へ入った。