Fall -誘拐-
<それでは追加の禁止事項を伝える。>
「・・・・・・・なんだ?」
<現金引き渡し移動の際、
警察車両は1台までに限定しろ。
これは妥協案の提案でもある。
貴方達の事だ。黙って指を加えながら静観するつもりは無いのだろう?
仮にこちらがそれを一切禁じても、何らかの方法で黒部さんを追尾するはずだ。>
「・・・ここも正直に答えさせてもらうが、その通りだ。」
<2台以上は認めない。1台だけだ。>
「・・・分かった。
黒部さんの車、
それに私達からは1台のみ、
黒部さんの後ろに尾かせてもらう。」
<次の電話を待て。>
電話が切られたと同時に、
新谷が渋い顔をこちらに見せてきた。
「東条さんダメです。1度目に掛けてきた公衆電話には誰も近づいていません。」
「場所を変えたか・・・。」
「東条さん!」
今回も逆探知を試みていた部下が立ち上がる。
「時間が足りなかったので正確な場所まで特定できませんが、
今の電話は相模原駅付近から掛けてきたようです!」
「!?」
相模原・・・・?
横浜から一気に移動した・・
犯人も車を使っているという事か・・!
だが・・まず黒部さんに向かうよう指示したのは横浜の喫茶店。
また戻ってくるのか・・?
それとも・・そこから相模原に移動させるつもりか・・?
「新谷、捜査員を分散させるぞ。
横浜の公衆電話には2人留まらせて、
残りはすぐに相模原駅へ向かってくれ。」
「了解です。」
今のところ犯人に振り回されているが、
こちらにとっての唯一の武器は逆探知が犯人の想定以上に出来ている事。
・・今は我慢の展開だ。