Fall -誘拐-
“ガ チャ リ”
再び法廷の重たい扉が開く音がする。
また記者の誰かが出て行っ・・・・
「西平!!!!!!!!!」
「・・ん??・・・・神野?」
法廷中に轟いた叫び声は、
俺がよく知る声だった。
他の皆同様、思わず入り口を振り返ると・・・怪我してるのか・・?
頭に包帯を巻いた神野がそこに立っていた。
「ちょ、ちょっと君!
すぐに退廷しなさい。」
いくらなんでも法廷内への私語はダメだろ神野・・。
すぐに二人の警備員が取り押さえにかかるが、神野が必死に抵抗するので慌てて仲裁に走る。
「西平!!聞け!!!」
「・・・・・・・・・・・・・・。」
「リカさんを保護した!!
彼女は無事だ!!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「全ては東条警部と・・
あんたが諦めなかったおかげだ!!
あんたがリカさんを救っ・・・・」
警備員が1人2人増えようと、
神野は西平に向かって叫び続けた。
最終的に5人に羽交い締めにされ退廷させられる。
神野が何を言っているのか理解が追いつかなかったが、
ふと西平を見ると・・・
直立不動だったその肩がほんの・・ほんの少しだけ震えている事に気付いた。
「来てくれるって・・・
信じてたよ・・・・・・神野。」
もしかしたら空耳だったかもしれない。
でもざわつきが収まらない法廷の中、
確かに西平の声が聞こえた気がした。