Fall -誘拐-


“ガ チャ リ”


再び法廷の重たい扉が開く音がする。

また記者の誰かが出て行っ・・・・


「西平!!!!!!!!!」


「・・ん??・・・・神野?」


法廷中に轟いた叫び声は、
俺がよく知る声だった。

他の皆同様、思わず入り口を振り返ると・・・怪我してるのか・・?


頭に包帯を巻いた神野がそこに立っていた。



「ちょ、ちょっと君!
すぐに退廷しなさい。」


いくらなんでも法廷内への私語はダメだろ神野・・。


すぐに二人の警備員が取り押さえにかかるが、神野が必死に抵抗するので慌てて仲裁に走る。




「西平!!聞け!!!」


「・・・・・・・・・・・・・・。」


「リカさんを保護した!!
彼女は無事だ!!!」




「・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・。」




「全ては東条警部と・・
あんたが諦めなかったおかげだ!!

あんたがリカさんを救っ・・・・」



警備員が1人2人増えようと、
神野は西平に向かって叫び続けた。


最終的に5人に羽交い締めにされ退廷させられる。


神野が何を言っているのか理解が追いつかなかったが、

ふと西平を見ると・・・

直立不動だったその肩がほんの・・ほんの少しだけ震えている事に気付いた。





「来てくれるって・・・
信じてたよ・・・・・・神野。」



もしかしたら空耳だったかもしれない。

でもざわつきが収まらない法廷の中、
確かに西平の声が聞こえた気がした。





< 204 / 208 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop