Fall -誘拐-
“重要参考人”としてガサ入れの令状を取る事に成功した俺達は、
西平が住むアパートの前まで来た。
「神野、もしガサで証拠が見つかったり、
本人が自供したらお前に手錠かけさせてやるよ。」
「いいんですか?」
「ここまでこぎつけられたのも、
お前の気付きと、
班の誰よりも聞き込んだ成果のおかげだ。
記念すべき1課での最初の逮捕、
任せたぞ。」
「ありがとうございます。」
扉の前に立ってノックをすると、
しばらくしてから・・・・
「西平ヤスシさんですか?」
「・・・・・・・・・・・・・・。」
「警視庁 捜査1課の堺です。
我々が来た事に対して・・
なにか心当たりはありますか?」
「・・・・・・・・・・・。」
高身長で、なかなか屈強そうな体つき。
頬が少しコケて無精ヒゲがまばら・・。
何より・・背景に大きな“闇”がかかっていてもおかしくない雰囲気を醸し出している。
今まで数多くの“サイコパス”をこの目で見てきた。
だから扉を開けて出てきた・・
無言のこの男の顔を見れば分かる。
・・・・間違いなくこいつがホシだ・・。