Fall -誘拐-
「今・・・何と仰いましたか・・?」
「黒部リカを誘拐したのは俺だ。
そして20年経った今も、
俺の手によって監禁し続けている。」
傍聴席のあちこちで、ざわめきが起きた。
“ガン ガン!”
「静粛に願います!」
裁判長が木槌を叩くが・・
・・ざわめきが収まらない・・。
むしろ・・大きくなっていく。
「黒部・・リカだと・・!?」
「堺さん、誰ですかその人・・?」
「・・・・馬鹿な・・・。
そんなハズはない・・・。」
「裁判長よぉ!」
「!?」
「司法取引だ。
俺を死刑にするな。
無期懲役にしてくれたら黒部リカの居場所を教えてやる。」
「被告人。虚偽の発言をしたら偽証罪にも問われますよ?
先程の発言は真ですか?」
「・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・。」
「・・・・我の目的は金だ。
ボストンバッグに500万を入れろ。
発信器は付けるな。」
「!!!?」
「我は時間にルーズな男が嫌いだ。
30分以上の遅れは許さない。
警察車両は一台までにしろ。」