Fall -誘拐-
「まさか・・・本当に・・・・?」
「あれぇ裁判長。
赤い上着着てこなかったのかぁ?」
「・・・・・・・・・・・・・・。」
「お前神奈川県警にも知り合い多いんだろ?
だったら世間に出回っていない、
俺が今言ったことの意味が分かるはずだ。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・フッ・・・フッ・・
もう1度言う。死刑を撤回しろ。
そうすればあの女の居場所を教えてやる。
だが・・もし死刑を強行したら・・
俺は一切黙秘するぞ?」
「・・・・・・・。」
「さぁ・・・どっちの命を取る・・?」
目の前で展開されるやり取り、
俺の横で動揺する堺さん。
全く状況に追いつけなかったが、
“本日は審理を中止します!”
と木槌叩いて退廷した裁判長と、
堺さんと同じく動揺した様子で追いかけていった検察官。
しばらくの間こちらに背を向けたまま立っていた西平は・・
振り返り様に怖ろしいほど不気味な笑みを浮かべていた。
第6章 完