Fall -誘拐-
「“新谷、お前は出世の道を閉ざすな”
“これ以上お前に迷惑は掛けられない”
“あとは私一人で追う”
私は断固として拒否しましたが・・
東条さんの意思は固く、
結局東条さんは他の全てを私に託し、
リカさん誘拐事件についてだけを、
たった一人で追い続ける選択をしました。
県警内で立場は無くなり、
机はどんどん隅に追いやられ、
“お荷物だ”と陰口を叩かれても・・
東条さんは・・・!」
「じゃあその東条警部は今でも・・?」
静かな口調で語っていた新谷本部長だったが、
いつの間にかその瞳には涙が浮かんでいた。
「随分と・・無理をしていたようです。
心臓に病気があった事も、
遺体が発見された時に初めて知りました。」
「遺体・・?・・ってまさか・・・?」
「東条さんは最期の最期まで捜査をしていたんだと思います。
匿名の110番通報があり、
駆けつけた所轄が、心臓発作で路上に倒れていた東条さんを発見しました。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」