Fall -誘拐-


4回目。


“もしもし、東条だ。”


“・・・・・・・・・”


“・・・・・・・・”


切れる。そしてすぐ後の5回目。


“・・・・・もしもし。”


“・・黒部さん?”


“いや・・ちょっと待ってくれ。
黒部さんに代わる。”


“・・も、もしもし。”


“先程伝えたファミレスで20分待機した後、

今から言う住所にあるカラオケボックスの駐車場へ向かえ。”




「なんかちょっとグダっとしてません?」


『仰るとおりですね。

まるで間違え電話をしてしまった時の反応のように聞こえます。』


「間違え電話・・?」


『黒部さんの家に電話したのに、
“東条”と名乗る人物が電話に出る。

番号を間違えたと思って慌てて切る。

もう1度掛け直す。

今度は相手が名乗らずに出たので、
“黒部さん?”と確認をした。』


「あ~そうそう、そんな感じ!」


『・・謎は深まるばかりですね。』


「それまで3回も電話掛けてたのに、
謎のグダり・・ダメだ・・全然分からん。」

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