Fall -誘拐-
第9章
第9章
捜査1課 堺マコト
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“ガチャリ”
東京拘置所の面会室。
アクリル板を隔てた扉の向こうから、
渦中の人物 西平ヤスシが現れた。
「・・・・誰だぁお前?」
「覚えてないのか?捜査1課の堺だ。」
「・・あぁ・・・思い出した。今度は班長さん自ら乗り込んできたのかぁ?」
「裁判であれだけの啖呵切ったくせに、
何一つ喋ってくれないからこっちも調べ直させてもらった。」
「・・・・・・・・。」
「お前の事を知っている人間、
お前の姿を見たことがある人間。
把握できる範囲で聞き込みを続けているが、
女性を連れていた・・あるいは女性の影を匂わせる証言は誰一人として出ていない。」
「・・・・・・・・・・・・・。」
「どうして嘘をついた?」
「嘘じゃない。黒部リカは俺の手によって今も監禁し続けている。」
「少なくとも2016年からお前の身柄は警察が拘束した。
そんな状態で、何を以て今も“彼女を監禁”と断言できる?」
「・・フッ・・フッ・・誘導尋問のつもりか班長さんよぉ?
俺の言ってる事が嘘だと思うなら、
根拠を示せよ?」
「・・・・・・・・・・。」
「次の公判日がまだ伝えられていないって事は・・・
お前らも検察もまだ、
“黒部リカを誘拐したのは嘘だ”と言い切れないんじゃねぇのかい?」